暴走


撃沈。


 インパクトで最初に笑いを取れたのはいいのだが肝心の中身はただの話し合い。みるみるうちに観ている人の冷たい視線と先生の呆れた視線が突き刺さってくる。あえなく15分程で終了。
みんなに「ずるい」だの「大丈夫か?」だの
「俺の好きな女に変なことさせんな」等と言われながらしょんぼりと退散。

 他のチームのエチュードが始まりました。
・・・何か形になっている・・・。デパートを舞台とした
笑劇、学校を舞台にした喜劇。ぎこちない部分は大勢のエチュードでは当然あってしまうけど、それにしても形があるだけで凄いと思ってしまう。反則をしたの僕達だけであった。
だが待てよ・・・。
改めて3つのチームのメンバー構成を見直してみると有ることに気がついた。

ジャンル分けされている気がする・・・。

 Aチームは結構本格的に芝居をしようとしている男性が集まっている。Bチームは本格的に芝居をしようとしている女性が集まっている。
 そして僕達はというと・・・FUJIが居る・・・てっしーが居て・・・ヒロが居る・・・。

いろもん?

 光が見えた。分かったよ先生!FUJIやてっしーで、
いや皆でヒロを好き勝手すればいいんだね!!

 とんでも無いような考えだが、おそらく先生の考えもそのとんでもないやつだったのではないかと思う。
ヒロは
どんな言葉でも真に受けて「悩み」「焦り」相手に気を遣う男である。
それをてっしーのように我が儘な奴やFUJIのようなマニアックな男とぶつけたらどうなるか、僕が考えてもワクワクする(あくまでクラス内の話ですが)。
 方向性は見えた(僕の頭の中だけで)。後はそれにあった舞台を用意しなければならない。なおかつテーマを含んでいて、
一人一人に見せ場があるようなエチュード。そしてこの考えはまとまるまで秘密裏に行わなければならない。何故ならば女性陣全員を説得出来るジャンルの物を作ろうとは思って無いからだ。出来るだけ作り上げてからノリで押し通す。
それが、肝心だ。

幸いノリが良さそうな(あるいはどんなものでもとりあえずやってみようと言う感じの)女性が集まっている。



イケルと、Gは、思った・・・。(田口トモロヲ風←今更か?


 秘密裏というからには授業中に話は出来ない。そこで我が相棒FUJIの登場である。
彼とは帰りの電車が途中まで一緒なのだ。それも2人して遠くから通っていたので話し合う時間は結構ある。
彼に相談してみよう。


「ヒーロー物が良いと思うんだ」
 FUJIは乗り気で相談に乗ってくれた。FUJIは
知識の宝庫である。果てはガンダムからアメコミまで、更に戦国時代からプロ野球まで、最後にハート・キャッチいずみちゃんからワクワク同人誌まで。
教科書には載っていない知識のオンパレードである。彼の手を借りない手はなかった。
 前出の言葉を投げかけると彼はすぐに何かを閃いたようだった。俺にも彼に何が閃いているのか分かった。
FUJIに相談した時点で決まっていたのかもしれない。

ヒーロー物と言っても















特撮系ヒーロー物である。